介護保険のサービスを利用すると、実際の金額の1割〜3割を自己負担します。この負担割合は、本人や世帯の所得等によって決められています。少し複雑ですので分かりやすく解説していきます。



介護保険負担割合証とは


介護サービスを利用したときに支払う金額は、本人の所得や収入等によって、1割〜3割の差があります。

介護保険負担割合証は、介護サービスを利用するときの負担割合が記載されています。介護サービスを利用するときは、介護保険被保険者証と一緒に確認してもらいましょう。




適用期間


8月1日〜翌年7月31日(1年間)

※毎年7月下旬に要介護認定を受けている方に送付されます。



再判定


負担割合の再判定にて、負担割合が変更になる場合があります。

  • 住民税の所得更正による場合。
    →直近の8月に遡って変更されます。税の遡及に応じて時効の範囲内でさらに遡ることもあります。
  • 世帯員の転出入や死亡などにより世帯内の第1号被保険者数が変わる場合。
    →当該事実があった月の翌月初日から変更されます。
  • 第2号被保険者が、第1号被保険者となり、判定により2割、3割になる場合。
    →65歳到達月の翌月初日から変更されます。誕生日が1日の方は、その月から変更されます。

※第1号被保険者(65歳以上の方)、第2号被保険者(40歳以上65際未満の方)。



利用者負担割合の条件


介護保険料の滞納はないか


介護保険料の滞納がある方は給付制限により、本来は1割負担でも、3割や4割負担となる場合があります。



65歳未満か


第2号被保険者(40歳以上65際未満の方)は、所得に関係なく1割負担です。



65歳以上


市区町村民税が非課税の方、生活保護受給者は、1割負担。


  • 【3割負担】本人の合計所得金額が220万円以上で、同じ世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計が単身の場合340万円以上(単身で年金収入のみの場合344万円以上に相当)、2人以上の世帯の場合463万円以上の方。
  • 【2割負担】本人の合計所得金額が160万円以上で、同じ世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計が単身の場合280万円以上(単身で年金収入のみの場合280万円以上に相当)、2人以上の世帯の場合346万円以上の方。
    年金収入以外の収入を中心とする場合には、実質的な所得が280万円に満たないケースがあること。夫婦世帯の場合には、配偶者の年金が低く、世帯としての負担能力が低いケースがあることを考慮。
  • 【1割負担】上記に該当しない方。

合計所得金額」とは、収入から公的年金等控除や給与所得控除、必要経費の控除後の金額。また、基礎控除や人的控除等の控除前の所得金額のことです。

その他の合計所得金額」とは、合計所得金額から、年金の雑所得を除いた所得金額のことです。

一定以上所得者の負担割合の見直しについて(厚生労働省)




高額介護サービス費


負担割合が2割3割になると、支払いも2倍3倍になる?


1割が2割、3割になると支払いも2倍、3倍になるのか?答えは、単純に2倍、3倍にはなりません。


介護サービスの利用者負担額には月々の上限額が設定されています。1ヵ月に支払った負担額が上限を超えたときは、超えた分が後日払い戻されます。これを高額介護サービス費といいます。


月々の負担の上限 (高額介護サービス費の基準)が 変わります(厚生労働省)

区分 負担の上限(月額)
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 44,400円(世帯)
世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方 44,400円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 24,600円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されておらず、かつ、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)


世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額。

個人」とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額。


区分支給限度基準額以内が対象


介護サービスを利用する場合、要介護状態区分別に、介護保険から給付される上限額(区分支給限度額)が決められています。

       
要介護度 区分支給限度基準額
要支援1 5,032単位
要支援2 10,531単位
要介護1 16,765単位
要介護2 19,705単位
要介護3 27,048単位
要介護4 30,938単位
要介護5 36,217単位


この区分支給限度額を超えて利用した負担額については、高額介護サービス費の対象になりません


先程の高額介護サービス費の表を見て分かるように1割負担の方は、高額介護サービス費の対象にはなりませんが、同一世帯で介護保険サービスを利用している方が複数人いる場合は、対象になってくる場合もあります


ですので、どうしても必要なサービス量が区分支給限度額を超える場合は、区分変更申請をして要介護度を上げて、区分支給限度額を上げる必要がありますので注意が必要です。


要介護度が上がると通所や短期入所系の介護サービス基本単価も若干上がりますが、それよりも区分支給限度額が大きく上がるので、利用できるサービス量は増えます。