退院・退所加算について詳しく知りたい。カンファレンスの要件は?初心者でもわかるように解説します。

1.総論

病院若しくは診療所への入院又は地域密着型介護老人福祉施設若しくは介護保険施設(以下「病院等」という。)への入所をしていた者が退院又は退所(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護又は介護福祉施設サービスの在宅・入所相互利用加算を算定する場合を除く。)し、その居宅において居宅サービス又は地域密着型サービスを利用する場合において、当該利用者の退院又は退所に当たって、

  • 当該病院等の職員と面談を行い、
  • 利用者に関する必要な情報を得た上で、
  • 居宅サービス計画を作成し、
  • 居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合には、


当該利用者の居宅サービス又は地域密着型サービスの利用開始月に所定単位数を加算する。
ただし、初回加算を算定する場合は、算定しない。
なお、利用者に関する必要な情報については、別途定めることとする。

2.算定区分について

退院・退所加算については、以下の①から③の算定区分により、入院又は入所期間中1回医師等からの要請により退院に向けた調整を行うための面談に参加し、必要な情報を得た上で、居宅サービス計画を作成し、居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行った場合を含む)のみ算定することができる。

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)P9

「医師等からの要請により」とありますが、医師等からの要請でなく介護支援専門員が自発的に情報を取りに行った場合も算定可能です

① 退院・退所加算(Ⅰ)イ・ロ

退院・退所加算(Ⅰ)イ及びロについては、病院等の職員からの情報収集を1回行っている場合に算定可能であり、うち(Ⅰ)ロについてはその方法がカンファレンスである場合に限る。

  • 退院・退所加算(Ⅰ)イ  450単位
  • 退院・退所加算(Ⅰ)ロ  600単位

② 退院・退所加算(Ⅱ)イ・ロ

・ 退院・退所加算(Ⅱ)イについては、病院等の職員からの情報収集を2回以上行っている場合に算定が可能。
・ 退院・退所加算(Ⅱ)ロについては、病院等の職員からの情報収集を2回行っている場合であって、うち1回以上がカンファレンスによる場合に算定が可能。

  • 退院・退所加算(Ⅱ)イ  600単位
  • 退院・退所加算(Ⅱ)ロ  750単位

③ 退院・退所加算(Ⅲ)

退院・退所加算(Ⅲ)については、病院等の職員からの情報収集を3回以上行っている場合であって、うち1回以上がカンファレンスによる場合に算定が可能。

  • 退院退所加算(Ⅲ)  900単位

3.その他の留意事項

① 規定するカンファレンスは以下のとおりとする。

イ 病院又は診療所

診療報酬の算定方法(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号)別表第1医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たすもの。


平成30年度診療報酬改定により要件が緩和されています

退院時共同指導料2の注3

注1の場合において、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等が、在宅療養担当医療機関の保険医若しくは看護師等保険医である歯科医師若しくはその指示を受けた歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)、理学療法士作業療法士若しくは言語聴覚士介護支援専門員(介護保険法第7条第5項に規定する介護支援専門員をいう。以下同じ。)又は相談支援専門員(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第28号)第3条第1項又は児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第29号)第3条第1項に規定する相談支援専門員をいう。以下同じ。)のうちいずれか3者以上と共同して指導を行った場合に、多機関共同指導加算として、2,000点を所定点数に加算する。

補足

【入院中の病院側】※このうち1名以上

  • 医師
  • 医師の指示を受けた看護師等(=保健師、助産師、看護士、准看護士)

【在宅側】※このうち3名以上

  • 在宅療養を担う医師か看護師
  • 在宅療養を担う歯科医師か歯科衛生士
  • 保険薬局の薬剤師
  • 訪問看護ステーションの看護師(准看不可)か理学療法士か作業療法士か言語聴覚士
  • ケアマネか相談支援専門員

【在宅側】3名以上の要件が厳し過ぎですね
ヘルパーやデイサービス、福祉用具等の職員等は、カンファレンスメンバーには入りません

ロ 地域密着型介護老人福祉施設

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 18 年3月 14 日厚生労働省令第 34 号。以下このロにおいて「基準」という。)第 134 条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者への情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第 131 条第1項に掲げる地域密着型介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

ハ 介護老人福祉施設

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年3月 31 日厚生省令第 39号。以下このハにおいて「基準」という。)第7条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人福祉施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

ニ 介護老人保健施設

介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成 11 年3月 31 日厚生省令第 40 号。以下このニにおいて「基準」という。)第8条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

ホ 介護医療院

介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成 30 年1月 18 日厚生労働省令第5号。以下このホにおいて「基準」という。)第 12 条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第4条に掲げる介護医療院に置くべき従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限る。

ヘ 介護療養型医療施設(平成 35 年度末までに限る。)

健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 41 号。以下このヘにおいて「基準」という。)第9条第5項に基づき、患者に対する指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたり実施された場合の会議。ただし、基準第2条に掲げる介護療養型医療施設に置くべき従業者及び患者又はその家族が参加するものに限る。

② 同一日に必要な情報の提供を複数回受けた場合又はカンファレンスに参加した場合でも、1回として算定する。

③ 原則として、退院・退所前に利用者に関する必要な情報を得ることが望ましいが、退院後7日以内に情報を得た場合には算定することとする。

④ カンファレンスに参加した場合は、総論において別途定める様式ではなく、カンファレンスの日時、開催場所、出席者、内容の要点等について居宅サービス計画等に記録し、利用者又は家族に提供した文書の写しを添付すること。

平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)P10

この文書の写しとは診療報酬の退院時共同指導料算定方法でいう「病院の医師や看護師等と共同で退院後の在宅療養について指導を行い、患者に情報提供した文書」を指します