特養の入所は入所申込順ではなく、基本的には入所申込者の点数によります。入所指針の大枠は厚生労働省から示されていますが、実際の入所指針や評価基準は都道府県によって異なります。「点数」と聞くと、なにやら気持ちのいい響きではありませんが、入所の必要性を数値として表したものです。

各都道府県の入所指針や評価基準について、リンク一覧も作りましたので参考にしてみて下さい。

よくあるQ&A


Q1 そもそも特養(特別養護老人ホーム)って、どうして人気があるの?


収入や貯蓄が少ない人安い金額で入所できることがおおきな理由だと思います。詳しくはこの動画も参考にしてみてください。





Q2 特養には誰でも入所できますか?


2016年4月以降の新規申込は原則「要介護3」以上となりました。



Q3 特養の入所は数百人待ちって本当ですか?


複数の特養に申し込んでいる場合も多いですし、特養への入所は基本的に申込順ではありません



Q4 要介護3ですが、入所申込後、待っていれば特養に入所できますか?


特養への入所は、入所指針による合計点数によるところが多いです。原則、入所検討委員会などで合計点数が高い方から入所を検討するので、点数が低い場合は、いつまでも入所の順番がこないこともあります。



Q5 「入所指針」とか「点数」とはどういうものですか?


特養への入所は、入所の必要性の高い人から優先的に入所させるように国から指針がでています。都道府県や自治体はこれをもとに指針を策定することとなっています。 こちらの動画にもまとめていますので、参考にしてみてください。





 

厚生労働省からの入所指針


入所の必要性の高さとは?【3つの勘案事項】


これは、平成29年に厚生労働省から出されている「特養の入所指針通知」の抜粋です。正式には、「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正についてです。

入所の必要性の高さを勘案する事項については、下記3つが挙げられています。


  1. 介護の必要度 = 要介護度
  2. 家族の状況 = 単身、高齢、病弱
  3. 居宅サービスの利用状況



又、入所検討委員会を設けること、指針を公表して入所希望者にその内容を説明するものとなっています。



要介護1、要介護2でも入所できる「特例入所」とは?


特養への入所は原則「要介護3」以上ですが、要介護1、要介護2の方でも入所できる「特例入所」があります。



  1. 認知症で、日常生活に支障を来す症状や行動、意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
  2. 知的障害・精神障害等で、日常生活に支障を来す症状や行動、意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
  3. 深刻な虐待で、安全・安心の確保が困難
  4. 単身、同居家族が高齢又は病弱で家族支援が困難、かつ、サービスの供給が不十分


上記4点のいずれかに該当する場合は、特養への入所を考慮するように示されています。



入所評価基準の例(三重県)


それでは、実際に三重県の入所指針を見てみましょう。






本人の状況


要介護5と4は同点。要介護1〜3の場合は、認知症などによる不適応行動(いわゆる周辺症状)が週に1回以上出現する場合に10点追加となっています。


  • 要介護5 40点
  • 要介護4 40点
  • 要介護3 20点
  • 要介護2 10点
  • 要介護1 5点



介護の必要性


サービス利用割合


区分支給限度基準内単位数の合計(直近3ヶ月)を26,135で割った割合。

※ (16,765 + 19,705 + 27,048 + 30,938 + 36,217) ÷ 5 = 26,135


  • 6割以上 30点
  • 4割以上6割未満 20点
  • 4割未満 10点


病院や施設に入院(入所)中


医療機関、老健、療養型医療施設、グループホーム、特定施設(=介護付有料老人ホーム)、養護老人ホームに入院(入所)している 20点



家族介護者の状況


家族等介護者の状況としては下記。


  • 単身 30点
  • 高齢者世帯、介護者が虐待 20点
  • 介護者が就業中、複数の人を介護している等 10点



入所順位を上げる方法(三重県)


三重県での特養への入所順位は、入所評価基準点数の結果が、概ね80点以上の場合は点数の高い者を上位とし、80点未満の場合は入所申込受付順としています。


つまり、特養に空きがあれば入所申込受付順ですが、それ以外の場合(殆どの場合)は80点以上ないと入所申込をしていても順番が回ってこないことになります。


そもそも施設サービスを受ける必要性が高い入所希望者を優先的に入所させるための基準ですので、要介護度が低く、介護サービスの利用量も少なくても生活が継続でき、介護者も元気な場合は点数が低いです。


逆に介護度が高く介護サービスの利用量も多く介護者が居なかったり高齢や病弱であれば施設サービスを受ける必要性が高いとなります。



① 特養以外の施設に一旦入所する


三重県の場合は、特養以外の施設(老健、グループホーム、介護付有料老人ホームなど)に入所しているような場合は20点が追加されますので、他の施設に入所して介護サービスを受けていれば、ほぼ50点は獲得することになります。



② ケアマネに不適応行動をしっかり記載してもらう


要介護1〜3の場合は、認知症などによる不適応行動(自傷行為・夜間せん妄・興奮・大声・奇声・徘徊・攻撃的行為・不潔行為・摂食異常・弄火・暴言暴行・昼夜逆転などの問題行動といわれるもの)については10点追加されます。


又、家族等介護者の状況などについては、担当ケアマネからの情報提供(様式2)も判断材料として大切になりますので、担当ケアマネに施設入所が必要な状況である旨を記載してもらうことが重要です。





③ 入所申込者が少ない(地域密着型・県境など)特養に申し込む


特養は、地域密着型でなければ住所地以外の市町や県外でも申込できます。いくつ申し込んでも問題ないですので、空きが出そうな県境の施設などにも申し込んでおきましょう。


家族が同居している場合には、一旦、介護付有料老人ホームやグループホームなどに入所して住民票を分けることで、家族介護者の状況が単身30点加算される場合もあります。施設によっては家族が介護していないとの理由で加算されないこともあるので事前に確認は必要です。



各都道府県の入所指針及び評価基準の一覧


各都道府県の入所指針及び評価基準(点数表)のリンク集です。都道府県によっては、調査票などの名前で評価基準(点数)が掲載されています。入所指針と評価基準が分かれている都道府県は、そのページにリンクを貼ってありますので確認してみてください。