どこの居宅介護支援事業所でも使えそうなテンプレート(WordとExcel)を作ってみたので参考にしてみてください。


「やること」や「書類」がどんどん増えていくケアマネ業務。その中でも業務継続計画(BCP)の作成は大変です。何でもそうですがゼロから作るのは大変ですよね。「BCP作成の研修に出てみたもののボリュームが多過ぎて何から手をつけていいのかわからない・・・」ということはないでしょうか。



BCPに最低限必要な項目


 業務継続計画(BCP)作成の研修が盛んに行われていますが、ボリュームが大き過ぎてお腹いっぱいになってしまいます。大切なのは、立派な分厚い計画を作成することではなく、実際に使える計画を作ることです。そのためには、必要な項目に絞って「叩き台」を作り、職員皆で話し合って肉付けしていくことだと思います。

 令和6年3月31日までに作成しないといけませんので、まずは形だけでも「叩き台」を作って、月1回の伝達会議等で少しずつ改訂していくのがいいのではないかと思っています。


必要な項目


必要な業務継続計画は、①感染症に係る業務継続計画、②災害に係る業務継続計画の二点です。


①感染症に係る業務継続計画


  1. 平時からの備え
    1. 体制構築・整備
    2. 感染症防止に向けた取組の実施
    3. 備蓄品の確保等
  2. 初動対応
  3. 感染拡大防止体制の確立
    1. 保健所との連携
    2. 濃厚接触者への対応
    3. 関係者との情報共有等


②災害に係る業務継続計画


  1. 平常時の対応
    1. 建物・設備の安全対策
    2. 電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策
    3. 必要品の備蓄等
  2. 緊急時の対応
    1. 業務継続計画発動基準
    2. 対応体制等
  3. 他施設及び地域との連携



根拠法令


 まずは根拠となる運営基準を見てみましょう。「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」の「3 運営に関する基準」の「(14) 業務継続計画の策定等」を抜粋しました。


① 基準第 19 条の2は、指定居宅介護支援事業者は、感染症や災害が発 生した場合にあっても、利用者が継続して指定居宅介護支援の提供を受 けられるよう、指定居宅介護支援の提供を継続的に実施するための、及 び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計 画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、介護支援専門員その他の従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。利用者がサー ビス利用を継続する上で、指定居宅介護支援事業者が重要な役割を果たすことを踏まえ、関係機関との連携等に努めることが重要である。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準第 19 条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにす ることが望ましい。

なお、業務継続計画の策定等に係る義務付けの適用に当たっては、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第9号。以下「令和3年改正省令」 という。)附則第3条において、3年間の経過措置を設けており、令和 6年3月 31 日までの間は、努力義務とされている。


② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記 載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感 染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における 自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定 される災害等は地域によって異なるものであることから、項目について は実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を 一体的に策定することを妨げるものではない。

  1. 感染症に係る業務継続計画
    1. 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
    2. 初動対応
    3. 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
  2. 災害に係る業務継続計画
    1. 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラ インが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
    2. 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
    3. 他施設及び地域との連携


研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。


訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。



参考資料にしたもの


 一番悩んだことが、どの優先業務を何にするか、安否確認などの優先順位をどうするかです。安否確認は独居、日中同居、高齢者世帯、医療行為がある方を優先に、日頃から使っているシステムに追加情報を入れるようにしました。

 優先業務については、日本介護支援専門員協会から出ている通達を参考にしてみました。


日本介護支援専門員協会


新型コロナウイルス感染症拡大防止に係るケアマネジメント業務の弾力対応について

これを参考に、優先業務を決めてみました。


 

業務継続計画(BCP)テンプレート 感染症&自然災害


 皆さん忙しくて、とにかく「叩き台」が無いと何も始まらない。ということで、居宅介護支援事業所向けのBCPテンプレートを作成してみました。研修で得た知識も参考に、中身はペラペラですが、これを元に、事業所内で定期的に検討して実用性のある業務継続計画(BCP)にしていこうと思います。


業務継続計画(BCP)テンプレート 感染症






















業務継続計画(BCP)テンプレート 自然災害