社会福祉協議会の今後の方向性と経営の手引き
社会福祉協議会は、介護サービスが制度化される以前から、安心して暮らせる地域づくりをすすめてきました。介護保険制度が開始されると多くの社協が指定事業所となり、約7割の社協が何らかの介護サービス事業を実施しています。
しかし、社協に経営の基本的な考え方が根付いておらず、経営は厳しくなる一方です。今後どうしていけばいいのか、全社協の手引きを元に考察しました。
社協における在宅福祉サービスのあゆみ
- 平成2年 福祉8法改正で、市区町村社協の事業として「社会福祉事業の企画と実施」が位置付けられた。ホームヘルプサービス、デイサービス等の在宅福祉サービスが法制化。
- 平成6年 全社協が「事業型社協」を提案。協議体としての社協から、福祉サービスの供給主体になる事業体としての社協の色が濃くなる。
- 平成12年4月 介護保険制度が開始。介護事業が収益のための部門という意識が強くなり、自主財源確保の手段となった。しかし、社協の介護サービスと他の事業所との大きな違いや特徴は見られない状況。
- 障害者自立支援法による居宅介護や重度訪問介護、同行援護も多くの社協で実施している。障害サービスについては、社協が唯一の事業所となっている地域も見られる。
介護保険制度の動向
軽度者への介護保険サービスのあり方が大きく変わってくる
- 介護予防訪問介護、介護予防通所介護を地域支援事業に移行。(住民主体等の生活支援サービスへ)
- 要介護2以下への生活援助の見直し。
中重度者への対応の強化
- 最後まで自宅で暮らし続けられるよう、医療ニーズのある人への支援について専門性を高める。
多世代交流・多機能型拠点
- 分野や対象を超えた全世代、全対象型の包括的な地域支援体制の構築が必要。平成27年9月、「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」
社協らしい介護サービス事業の姿
社協が介護サービス事業を実施する意義
- 介護サービスの提供を通して目の前の住民の福祉ニーズを把握し対応する。
- 介護サービス事業で囲い込まず、地域福祉部門と連携しながらサロンなどの生活支援をサポートする。
- 自治会や民生委員などのユーザーの立場からの意見を直接把握して、地域のニーズについて、サービスの質の向上や改善につねげる。
- ゴミ屋敷や金銭管理の課題などの「困難ケース」についてへの対応。
- 民間事業者が参入しにくい過疎地において、地域の介護人材を育ててサービスを継続していくセーフティーネットの役割。
- 自主財源を確保し、行政からの自律性を維持する。
住民主体の地域包括ケアシステムを支える社協らしい介護サービス事業の展開
全社協・地域福祉推進委員会介護サービス事業経営研究会幹事会が策定した「社協・介護サービス事業推進方針2015」で具体的な推進方策を提案している。
- 地域福祉と介護サービスの連携強化
- 住民による生活支援サービスとの連動、サロンに出向いてアドバイスや自宅訪問
- 医療知識の習得、訪問看護などとのネットワーク、夜間訪問介護、総合的な支援(病気、障害、失業、孤立)
- 経営体制の強化、人材確保、キャリアパス整備、休暇や育児など働きやすい職場の整備
経営の実態把握と分析
サービスごとの目標値を設定し実績を把握する。前月、前年度との比較、他の事業所との比較をすることで特徴を知る。
社協の会計の特徴
以下の理由から、介護サービス事業の経営実態の把握が困難になっている。
- 行う事業と財源が多い。
- 一つの事業規模が小さく一人の職員が複数の業務を兼務し、按分が煩雑。
- 行政から貸与されている建物、行政からの出向者の人件費など、潜在的な費用が意識されづらい。
- 理事会や会長が経営責任を意識していないことが多く、会計を経営に役立たせる認識の弱さにつながっている。
- 予算や収入に合わせて経理処理されることが多く、年度末に費用の付け替えをして収支を合わせている。
経営実態を正しく把握するための会計のポイント
- 経営目標を数値化して全職員に徹底する。
- 収益分岐分析、自己資本対固定資産比率、流動比率。
- 事業所の経営実績を時系列でグラフ化する。
エクセルによるシート項目
- 目標値(利用者人数、回数、収入額)
- 職員数
- 集計結果(月ベース、年度比較、目標値と実績値)
管理者の役割
- 経営の目標値の設定
- サービスの質の評価
- 月次の収支把握
- 予算決算の作成
- 事業の方向性の検討
- 他部門との連携
- 地域との連携
- 経営会議の開催。
- 理事に対して年数回の経営状況報告だけでなく、職員と一緒に勉強会。
- 福祉教育からの人材確保、話し合える雰囲気作りで人が辞めない職場をつくる。
まとめ
他部署やサロン、民生委員などと定期的に話し合って、困難ケースを担当して、採算の合わない人にも対応して、数値目標を出して、赤字を出さないようにしっかり経営していくということか・・・・。
現実的にできるのか・・・・。居宅介護支援事業所単独での黒字化はただでさえ難しいのに、年々人件費は上がるばかり。ハードルが高すぎる・・・。まずは年度毎の集計をしてみます。
決算予算の備忘録
- 財産目録=貸借対照表の内訳明細
- 資金収支計算書=キャッシュフロー計算書=どのように使ったか、お金の動き。流動資産や流動負債。資金収支計算書と貸借対照表の関係においては、支払資金(すぐに使えるお金と近いうちに動くお金)=流動資産-流動負債。「予算」を記載する必要があり、決算額と予算額に著しい際がある場合は、その理由を記載する必要がある。資金収支計算書は予算と実績の対比が出来るので予算管理に最も適している財務諸表。収支計算書は、以下3つに区分されている
- 事業活動による収支
- 施設整備等による収支
- その他の活動による収支
- 事業活動計算書=損益計算書=どのぐらい稼いだか、財産の動き。事業活動計算書と貸借対照表の関係においては、純資産=総資産-総負債。資金収支計算書は決算時に予算との対比をするが、事業活動計算書は決算時に前年度との対比をする。事業活動計算書は、以下のの4つに区分されている
- サービス活動増減の部
- サービス活動外増減の部
- 特別増減の部
- 繰越活動増減差額の部
- 貸借対照表=健康診断書。資産=負債+純資産。資産の部では何に使っているのか、負債の部及び純資産の部ではどこから調達しているのかを表す
- 事業区分=社会福祉事業、公益事業、収益事業とか
- 拠点区分=事業所や事務所別で区分したもので拠点区分単位で予算が立てられる。地域包括支援センター、ケアプランセンターなど
- サービス区分=事業の内容に応じて設ける。訪問介護とか通所介護とか
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