終活やエンディングノートと聞くと「まだまだ先のこと」「自分には関係ない」と思っていませんか。日本人は『死』の話が苦手と言われますし、『死』について考えていると、少し変な人と思われたりします。

エンディングノートは、単に連絡先等を記録するだけでなく、人生を振り返り、これからの生き方を考えるきっかけにもなります。

変な言い回しになりますが、生きている時間をよりよく過ごすためにも一度、終わりを見据えてみませんか。人生が充実してくるかもしれません。




終活とは?



終活とは人生のエンディングを充実させるために、終末期のことを考えて準備をしておくことです。

  • 自分の終末期や死後のことを考える
  • 家族や周囲の人が困らないように準備をしておく


といったことです。

自分は、学生時代に親が急に亡くなりとても困った経験をしました。悲しんでいる暇はなくて知らないことばかりで途方に暮れました。

  • 葬儀はどうしたらいいのか
  • 誰を呼んだらいいのか
  • どこまでが親戚なのか
  • 友人や連絡先を知らない
  • 宗教や宗派を知らない


葬儀、親類や友人の連絡先、所有資産などにも困りました。
残された遺族が困らないように、こういった必要情報以外にも

  • どんな子どもだったのか
  • 自分が生まれたときの気持ち
  • 自分にどうなってほしかったのか
  • 人生で大切にしてきたこと
  • やりたかったこと


そういったことも教えて欲しかった、書き残して欲しかったと思いました。

急に亡くなると、残された遺族は精神的に追い詰められることが多いです。
本人の言葉で想いが残っていたらどんなに救われるか、どんなに心強いかと思います


『遺書』『遺言書』『エンディングノート』の違い


「○○は私にくれると言ってた!」と口約束を持ち出すと、「本当に言ってたの?」と反対されたり親族間でトラブルの種になります。

そうした事態を避けるために自分の意志や必要事項を書面に書き残したものが、遺言書、遺書、エンディングノートです。

遺書 自分の気持ちやメッセージを綴る書類。決まった形式もルールもない。
遺言書 法的効力を持って意向を伝える。遺産相続についての意向を伝え、法的な効力を持っている書類。
エンディング
ノート
気持ちや意向、連絡事項、回顧録などを伝える 自分の意志や要望や手続きなど、自分の死後に必要な情報をまとめたノート。(たとえば葬儀を知らせてほしい人の連絡先一覧など)

エンディングノートとは、自分のことをまとめたノートといえます。


エンディングノートの書き方


エンディングノートは特に決まった形式はありません。書店には、さまざまなタイプのものが販売されていますが、丈夫なノートを自分でアレンジして記入していくのもいいと思います。



連絡事項をまとめる


遺族が困らないように必要な情報を伝える

  • 葬儀やお墓に関する要望
  • 親族、友人の連絡先
  • 資産の一覧
  • 名義変更する必要がある契約
  • 介護が必要になった場合の要望


葬儀に関する要望は、遺言書ではなくエンディングノートに書いておきましょう。遺言書に記載しても、検認などに時間がかかって間に合わないことが多いからです。


家族へのメッセージ


自分史や思い出、家族へのメッセージを書いておきます。日頃は伝えにくい、家族や友人への感謝の言葉などです。


自分史


自分史を書くことで今までの経験や失敗を振り返ることもできます。実現したかったことを思い出して再チャレンジするきっかけにもなります。今後の人生をよりよく生きるきっかけになるかもしれません。


家族のルーツ


自分の親や祖父母から聞いた歴史や経験談など次世代に伝えたいこと。家系図をかくことで家系のつながりを次世代に伝えられます。


家族や友人へのメッセージ


これまでに出会った友人や家族の歴史を振り返り、感謝の気持ちや日頃は伝えられない想いを書きます。

エンディングノートで人生を振り返ると、これからの生き方を考えるきっかけになります。パートナーとの馴れ初め、子どもが生まれたときの気持ちなどを思い出しながら綴ることで、これからの夫婦関係、親子関係にもよい影響を与えると思います。



自分はMOLESKINEノートをエンディングノートとして、ライフプランや日記用にも使っています。最初の10ページ程度をエンディングノートの記録。それ以降は1年で2ページを使って、左側に思い出の写真、右側に思いを綴っています。1年2ページですが、とても分厚くなりました。



市販であれば、KOKUYOのエンディングノートが使いやすいと思います。

各セクションにマンガが書いてありパッと見て必要性が分かりやすいですし、好きなページや気になるページから記入していけます。写真などをCD等で保管できるポケットも付いてます。




遺言書の書き方


実際に遺言書等を書くケースは稀だと思いますので、概要のみ書いておきます。

遺言書には3つの種類があります。その中でも『自筆証書遺言』は費用がかからず、自分でいつでも作成できます。


自筆証書遺言書の書き方


日付、内容、署名まで全てを自筆する 2018年の法改正で、相続財産目録はパソコン等で可
内容は具体的に書く 金融機関の口座情報、不動産の地番
財産目録は別紙で印刷し、全てのページに署名(自筆)と押印をするといい

  • メリット 内容を秘密にできる
  • デメリット 記載不備で無効になるリスクがある 死亡後、家庭裁判所での検認を受ける必要が必ずあります

個人的な意見ですが、後々のトラブルの原因になるので、不動産等は共有名義にしないほうがいいです。

割合を指定して相続させない。トラブルの原因


公正証書遺言とは


公証人が作成し、謄本は本人が持ち、原本は公証役場に保管されます。公正証書遺言の存在を遺族にわかるようにエンディングノートなどに記しておくことが大切です。

  • メリット 家庭裁判所の検認が要らない
  • デメリット 手間がかかる 相続額に応じた費用が必要


秘密証書遺言とは


自筆証書遺言と同じように自分で作成しますが、署名以外は自筆でなくてもいいです。封筒に書面と同じ印鑑で封印して、公証役場で証明してもらいます。

  • メリット 署名以外は印刷でも構わない
  • デメリット 一律、11,000円の費用が必要

公証役場に作成日が記録されて本物の遺言書であることは証明できますが、記載事項の証明はしないので、書式の不備で無効になるリスクはあります。エンディングノートに保管場所を書いておくといいと思います。