認知症の第一人者が認知症になった【から学ぶこと】
認知症の専門医が認知症になった
自分の姿を見せることで認知症とは何かを伝えたい
心の高鳴りはどこにいってしまったのか
医師として当時関わった患者の言葉で、ずっと心に刺さっていたそうです。自身も当事者になった想いを語っていました。
- 想像以上の不安に襲われた
- こんなに大変だと思わなかった
- 生やさしい言葉だけで患者に向き合ってきた
- 初めて当事者の想いがわかった
- 生きている確かさが少なくなってきた
- 生きがいは何だろう
そして、できるだけ今までと同じ日常を送ろうとあらがったそうです。
日に日に妻の負担が増える
介護負担は日に日に増えるが「仕事一筋の夫とやっと2人になれた」「のんびりできてよかったねと言えるようにしたい」と妻。
「幸せだと思う」「自分自身のあり方がはっきりしないけど妻の声掛けで確かさが戻ってくる」と本人。
でも、口を挟まれてイライラして机をグーで叩く場面も出てくる。口数が少なくなった理由を尋ねると「自信がなくなり寡黙にならざるをえない」。「確かさがあやふやになってきた」と何度も言われていたのが印象的でした。
デイサービスの利用
妻の介護負担軽減にデイサービスを利用。レクリエーションに参加するが元気がない。
医師として認知症患者に「デイサービスに行ったらどうですか」としか言えなかった。家族の負担を減らすためにはいいだろうと思っていたが違った。
- 「何がしたいですか?」そこからスタートしてほしい
- デイサービスに行っても一人ぼっち
- 妻の負担は仕方ない
- 死んだら周りはほっとするよね。それくらいみんなに負担をかけていることは分かっている
有料老人ホームの宿泊体験
認知症と診断されてから2年程になると「夢と現実の境目が分からなくなりはっきりしなくなっている」。
- 朝か夜か分からない
- 「死のうと思った」と気分の落ち込み
- 講演会でいきなり歌を歌う
- 転倒する
- 日中でも横になることが増えていく
有料老人ホームの体験宿泊には「我慢」「俺の戦場(職場)に帰りたい」。帰宅後、書斎の椅子に座って「ここに来ると落ち着くんだ」と。娘を妻と呼び間違える。「ありがとう」と妻に頭を下げていました。
認知症と診断されて2年
改めて今の心境を記者が本人に尋ねていました。その発言からも病気が進行したことがわかります。
「余分なものは剥ぎ取られる」「心配はあるけど心配する気付きがない。一つの救いだ」「認知症の景色は変わらない。普通だ。変わらない」
学んだこと
①認知症になって本当の認知症が分かる?
認知症になるとどうなるか、感じ方は認知症の人だけが分かると言ってました。感じ方を理解できなくても、その苦しい思いを受け止めることはできると思います。
- できないことは増えていくけど、その人の基本的な人柄は変わらない
- 権威や威厳を潰さないように自信がなくならないように周囲が役割を奪わずにサポートする
- 共に歩く家族やサポーターの大切さ。前向きに笑顔で介護できる支援体制
②診断直後からの支援が大切
認知症と診断されると、想像以上の不安や、今までの全てが崩れ去るような恐怖や葛藤に押し潰されます。クリスティーン・ブライデンさんの講演でも認知症と診断された初期には
- 頭に霧がかかったようになった
- 疲れやすくなった
- とてもストレスを感じるようになった
と発言されています。診断直後から、本人と家族への支援体制が大切です。
③認知症の症状を「障害」として受け入れ一人一人に合った支援を
認知症国際フォーラムでも話されていましたが、認知症と診断された途端、本人にはリスクを取る選択肢はなくなり、行動すること一つ一つに、リスクや責任を誰が取るのかと言われてしまう。リスクを選択する権利を当然のように失ってしまう。
認知症も他の病気と変わらない。認知症の症状を障がいとして受け止め、他の人と変わらず、選択する機会を提供できる環境を用意し、それを支援できる体制が必要だと感じました。
④認知症の予防
若い頃からの認知症予防の習慣が大切。「こうすれば認知症にならない」という方法は残念ながらありません。でも「どうすれば認知症になりにくいか」ということはわかっています。最近では、リコード法やコグニサイズなど、色々と予防方法が言われていますが、大きく分けるとこの2つです。
- 認知症になりにくい生活習慣を行う
- 認知症の初期段階で落ちる3つの能力を鍛える
この2つを行うことで、認知症を発症せずにすごせたり、認知症になる時期を遅らせることができます。
▼ YouTubeで認知症の予防方法について10分程でまとめています。生活習慣の改善と、効果的なトレーニング方法です。
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