透析患者への対応【MSW備忘録】
利用できる制度
- 傷病手当金 遡って障害年金を障害認定日請求(遡及請求)した場合、重複した期間に受給した傷病手当金は後日返還を求められます。健康保険の傷病手当金については協会健保と、障害年金については日本年金機構とのデータ上のやり取りの中で重複受給が判明しますので、後から傷病手当金の返還請求を受けることになります。傷病手当金の受給期間が終了した後に、新たに障害年金を請求して受給するような場合、調整はありません。
- 特定疾病療養受療証
- 身体障害者手帳 人工透析を受ける人は、身体障害者手帳1級を申請できる。身体障害者手帳の医療費助成制度は、県外だと医療費助成に毎月役場に行く必要あり。県外の病院が市役所に償還払の書類を送付してくれないため。
- 障害年金 同一傷病で傷病手当金を受給している場合、障害厚生年金の支給が優先されて傷病手当金がその期間支給停止になる。障害厚生年金の金額(同一の支給事由で障害基礎年金も支給されるときはその合計額)を 360 で除した金額が、傷病手当金の日額に満たないときは、その差額が支給されます。一般的には、傷病手当金の受給額のほうが多いです。障害基礎年金の場合は、その原因傷病が同一傷病であったとしても支給調整されることはなく、傷病手当金と障害基礎年金の両方を受給することができます。
シャント(バスキュラーアクセス)
バスキュラーアクセスには4つの種類があります。- 自己血管内シャント 一般的な内シャント
- 人工血管内シャント グラフトといわれる人工血管を使用
- 動脈の表在化 主に上腕動脈に。シャント作製することによって心臓に戻る血液量が増え、心臓の負荷が増してしまうため、脱血(動脈)側を作製します。止血に時間が必要だったり、血腫ができやすくなる
- 短期留置カテーテル FDLカテーテルで右内頸静脈が選ばれることが多い。鎖骨下静脈だと血栓性閉塞するリスクが高く、大腿静脈は感染の危険が高いから。左側内頸静脈が選ばれない理由は、心房にカテーテルが行き着くまで2回ほど屈曲するので、カテーテルが血栓性閉塞するリスクが右側より非常に高くなる。ほかのバスキュラーアクセスで透析可能になれば抜去。留置後すぐに使用可能で局所麻酔で留置する
- 長期留置カテーテル 自分の血管でも、人工血管でも、動脈表在化でもバスキュラーアクセスが成立しない人におこなう。カテーテルが常時ついたままになり感染のリスクも高いため通常は選択されない。留置後翌日から使用可能。局所麻酔で留置をおこなう。短期留置カテーテルとの違いは、①皮下組織に癒着させ、カテーテルが抜けないようにするため、フェルトなどで作成したカフがついていること、②皮下組織に一部トンネルをつくりそこにカテーテルを通し固定する。カテーテルの抜けやカテーテル感染を防ぐためにカフとトンネルが最大の違い
ダイアライザー
ダイアライザーは、血液中の老廃物や余分な水分、電解質を透析液へ移すためのろ過装置です。腎臓の糸球体と同じ働きをします。透析液
透析液には以下のような役割があります。
- 毒素除去
- 水分量調整
- 電解質濃度調整
- 酸、塩基バランス調整
製薬会社が製造している透析原液を希釈して使用します。
腎不全になると体液が酸性になるので、アルカリ化剤である重炭酸が含まれます。カルシウムやマグネシウムが沈殿しないよう、酢酸やクエン酸も入っていますが、稀に、これが原因で、嘔気・嘔吐などの不快な症状が現れます。
腹膜透析
腹膜は、表面に毛細血管が網の目のように分布しており、この腹膜を透析の装置として利用するのが腹膜透析です。透析液を一定時間入れたままにしておくと、腹膜の細い血管を介して、血液中の老廃物や不要な尿毒素、電解質などが透析液の中に移動します。透析液と血液の濃度の違いから生まれる浸透圧の差によって、過剰な水分も透析液側に移動します。一定時間経過後に、透析液を体外に排出し、新しいものと交換することで血液が浄化されます。
常にお腹からチューブが出ている状態なので感染に注意する必要があります。腹膜は劣化するため、腹膜透析を行えるのは一般的に5〜6年が限度です。
- CAPD(持続携帯式腹膜透析) 透析液を1回あたり6〜8時間ほど腹腔内に入れておき、1日に4回(朝、昼、夕方、寝る前)程度交換する
- APD(自動腹膜透析)夜眠っている間に、専用の機械で自動的に透析液を交換する
- M ミッドペリック 腹膜透析液
血液データ
- 【BUN】尿窒素(50~80㎎/dl)腎機能 たんぱく質が分解されてできる老廃物
- 【CRE】クレアチニン(0.65~1.07)腎機能 筋肉の代謝物
- 【K】カリウム(3.6~4.8)
- 【Na】(136~145mEq/l)電解質
MSWの備忘録
シャント増設のみの入院
2泊3日
シャント増設後、計画的な透析導入
シャント作ってあれば1週間で退院できる(3回の透析でOK)。
急な入院で透析が必要になった場合
- FDLカテーテルで透析開始
- 落ち着いたらシャント造設。2週間は定着期間。その間はFDLから透析
- 穿刺3回目でFDL抜く。2回穿刺できたら?
- 他科外来が入っていたら、その曜日は抜いて透析できるように調整
- FDLは抜けると大量出血するので、面談は抜けてから
- 面談時、特定疾病療養受療証(マル長)、身障手帳、薬手帳、保険証等を持参してもらう
透析条件、透析記録
- 透析条件 透析の診療情報提供書。透析日時、透析液やダイアライザーの種類等が記載されている
- 透析記録 透析中のバイタル等の記録
カルテ記録例
【◯Drから連絡】
◯日退院OK
転医できるように調整依頼
→◯Drに診療情報提供書を依頼
透析室に透析条件、透析記録を依頼
【本人と面談】
◯病院への転院希望
本人・家族面談は◯日以降になる
通院透析は月水金(火木土)コースでいいか
→家族面談は◯日でOK
透析日は月水金(火木土)でOK
【◯病院(◯MSW)に連絡】
月水金(火木土)コースで通院透析
本人・家族面談は◯日を依頼
→◯/◯(◯)
◯:◯家族来院 自車で退院
◯:◯◯病院面談
持参品:保険証一式、お薬手帳、特定疾病療養受療証(マル長)、身障手帳、診療情報提供書(原本)、透析条件、透析記録
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