ケアマネはどう生きるか【ケアマネの現実と知ってほしいこと】
ケアマネの現実
- 「休日の急な対応や電話対応・・・多くないですか!仕事休みなんですけど!」
- 「責任が重いのに給料安すぎる!」
- 「研修が多過ぎます。内容もグループワークや事例検討が多くて・・・ここでしなくてもいいんじゃないでしょうか?しかも研修費用○万円って高過ぎですよ!」
- 「必要な書類が多すぎる!」
- 「医師と連携しろって言われるけど、まず医師にも言ってよ・・・」
- 「ケアプラン点検!?そんな時間あるかよ!」
① 求められることが多過ぎ
- 介護と医療の知識
- 障害や地域福祉の知識
- 調整力や事務能力
- 傾聴する力
- コミュニケーション能力
- 交渉力
- 同時に複数業務をこなせる能力
- 利用者と家族のことを真剣に考え
- 関係事業所にも丁寧に対応して
- 記録も漏れなく整備して
- アセスメントや課題も適切に抽出して
- 課題に沿ったケアプランを作成し
- 医師も呼んでサービス担当者会議
- モニタリング記録も忘れずに・・・
書き出したらきりがないぐらい、ケアマネはとてつもないことを求められています。
② 必要な書類が多過ぎ
- アセスメント
- ケアプラン
- サービス担当者会議録
- サービス利用票、提供票
- モニタリング
- 経過記録
- 入院時情報提供書
- 退院退所情報記録書
- 主治医との連携書類
- 軽度者レンタルの申請書
- ショートステイ長期利用の理由書
- 特定事業所集中減産の判定様式
- 特定事業所加算に係る会議録
- 個別研修計画・・・
③ 義務研修が多い
ケアマネの試験に合格したら- 介護支援専門員実務研修 87時間
- 介護支援専門員専門研修過程Ⅰ 56時間
- 介護支援専門員専門研修過程Ⅱ 32時間
- 主任介護支援専門員研修 70時間
- 主任介護支援専門員更新研修 48時間
これ全部義務なんです。受け続けないと主任ケアマネやケアマネの資格は、剥奪されます。
資格取得後に、更新していくのに、これだけ長時間の研修を受け続けないといけない資格が他にあるでしょうか。しかも内容は、グループワークや事例検討が多く、しかも有料で数万円します。要するに、長時間で、内容の薄い、費用の高い研修を受け続けないといけないのです。
④ その他
誰も関わってくれない一人暮らし高齢者などには、家族の代わりにならざるをえず疲弊します。モンスタークレーマーから怒鳴られたり、重箱の隅をつつくような実地指導やケアプラン点検に耐えないといけなかったりもします。
もともとはケアマネのほとんどが、やりがいや働き甲斐を感じていたはずでした。でも負担が大きすぎるし、それに見合った評価がない。「質が低い!」と言われ続けて必要な書類や研修がどんどん多く複雑になってきた経緯があります。
研修や実地指導で言われるようなことを理想的にこなそうとすると相当無理があります。一生懸命に利用者と家族のことを考えて仕事をすればするほど書類が遅れて自分の首を絞めることになります。賛否両論あるとは思いますが、これが今のケアマネの現実です。
自分の経験談
自分も皆さんと同じように介護を志して、がむしゃらに頑張ってました。取れる資格は取って、色々な業務を兼務してきました。- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 主任介護支援専門員
- 障害者相談支援員
そして、とうとう・・・心と体を壊しました・・・
今は、何とか体調を回復させて職場復帰しましたが、いまだに「このままでいいのか?」、「他のことができるんじゃないか?」と悩み続けています。
ケアマネはこれからどうしたらいいのか
① ダメだと思ったら無理しない
まず、ダメだと思ったら無理しない。「お前は根性ないな!」とか「石の上にも3年だろ!」って言われますが、無理は絶対にダメです。大体皆、体がおかしくなったり、精神が病んでから病院に行ったり、休職します。でも、それでは遅いのです。体の替えはきかない。
ダメだと思ったら強引にでも休むことが必要です。
② 70%の力で走る
長く続けるには70%の力で走る。長く介護職やケアマネを続けていくには、マラソンにみたいに70%程度の力で走りながら、ピンチの時にだけ頑張るぐらいで丁度いい。とにかく体力を温存しておく。無理は禁物です。
割り切る能力が大切です。
③ 睡眠時間を死守する
ケアマネになったら睡眠時間は死守しましょう。自分の身は自分で守るしかない。寝不足だと変なミスはするしちょっとしたことでイライラします。とにかく疲れているときは睡眠を優先する。
睡眠時間を確保できれば仕事はなんとかなります。
④ ケアマネの業務範囲をしっかりと決める
介護保険法等に記載されている居宅介護支援(=ケアマネ業務)とは、自立した日常生活を送れるように以下3つを行うことです。- 居宅サービス計画(ケアプラン)を作成
- 連絡調整
- 入所の場合などの施設への紹介
ケアチーム全体で支援していくことが大切で、誰が、どの業種が、どこを、どのように、どこまで支援していくのかをケアプランに割り振って、サービス担当者会議で皆に周知してもらう。
特に緊急時の対応、支援者が入院してしまった場合なども含めて、チームで支援していく体制を話し合って事前に作っておくことが大切です。
⑤ 書類業務をテンプレート化する
書類の中には、以前からこうしてたからという根拠がないものものが沢山あります。研修や先輩から口頭で伝えられてきた書類です。その多くは法的な根拠がないものが多いことがあります。そういう書類は精査して無くせるものは無くしていく。
そして、法令に沿ったテンプレートを作成しておくことで、記録や必須業務の忘れがなくなり、業務効率も上がります。
⑥ 福祉関係以外の資格や知識
福祉関係の資格を取ってきましたが、個人的には、福祉関係の資格を取得していくよりも、福祉関係以外の資格を取得して知識を広げる方が、ケアマネとして広い見地で仕事やアドバイスができると思います。例えばこんな資格です。- FP技能士 (保険、税金、相続等の知識)
- 簿記 (会計や予算、会社全体のバランスシートを考えられる)
- 英会話 (高齢外国人を相手にできる)
色々な税金関係のことや、相続関係のことも含めて、お金にまつわる知識はこれから最も重要になると思うからです。
自分自身も、親が早くに亡くなり、生命保険、葬儀、相続、税金等のことで苦労しました。
これから親を支える子どもは少なくなり、兄弟で相談できる環境は今まで以上に少なくなります。ケアマネが、そういう方へ、お金にまつわる一般的なアドバイスが、ほんの少しでもできたなら、親の介護や終末期に向けての不安は随分解消されるはずです。
まとめ
① ケアマネに求められることはさらに厳しくなります
2025年問題、2040年問題。高齢、単独世帯のさらなる増加、稼働年齢人口の減少。医療保険、介護保険、年金制度は、さらに厳しくなってきます。医療保険は、国民皆保険制度になった1961年から60年近く経過しています。対して、介護保険制度は施行されてから20年で、まだまだ過渡期にある制度です。
今後は混合介護など、保険対象外の部分がさらに拡大していくことが予想されます。医師会と比べても圧倒的に力の弱い介護支援専門員協会では、制度崩壊をギリギリ避けながら、さらに厳しい状況は続いていくと考えられます。
② 自分の体調に責任を持つ
ですので、ケアマネは第一に、自分の体調に責任をもつことが重要になります。色んな意見があると思いますが、ケアマネが体調を崩して急に仕事を辞めたり、出勤できなくなることは絶対に避けないといけません。ケアマネを辞めたいけど辞められないというような、心が疲れ切っている状態になることも避けないといけません。
これからは、非常に厳しい時代が来ます。何でも屋ではやっていけません。70%の力で走りながら、ピンチの際にしっかりと対応できるように自分の健康管理をしっかりする。チーム力で乗り切れるように色々な知識を身につけて人間力を磨いていくことです。
そのバランスが難しいんですけどね・・
③ ケアマネは何度も人生をやり直せる仕事
ケアマネの仕事は、長年生きてきた人の人生を聴かせて頂いてアセスメントする。関わらせてもらう人の分だけ人生を振り返り、これからどうしたらいいのかを考える、すごい仕事です。自分が高齢になった場合を事前に何度も想定し、未来に向かってのプランを立てていく分けですから、逆に、今から自分はどうしたらいいのかを何度も学べるとも言えます。歴史と同じで、昔の偉人達の行動から、これからを学ぶことができます。
ケアマネには、これから多くの難題が待ち構えています。それは逆に、課題があるからこそ必要性も高いと言えます。難しいからこそ、仕事として続けていく意味や必要性は高いと考えると、少しは立ち向かって行く勇気が出るのではないでしょうか。
▼ YouTubeにも10分程の動画でまとめていますので、これからケアマネになる方、ケアマネとして働いているけど将来について悩んでいる方は是非参考にしてみて下さい。
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