金曜日の午後、1本の電話が入った。

市の決定事項として、区内全ての通所介護事業所の事業停止を明日から2週間要請します

これは令和2年3月6日(金)に名古屋市南区と緑区で実際に起こった出来事です。

1.突然2週間の事業停止要請(名古屋市南区と緑区)

名古屋市は3月7日(土)に南区と緑区にある126の通所介護事業所に事業停止要請を出しました

これまで感染症が発生しても、発生した施設のみの閉鎖で、地域単位での施設の閉鎖はありませんでした。

さらに今回、事前通告等は一切なく、それだけでも相当な混乱でした。

▼ 3月6日の名古屋市南区と東区の主な流れです。

時間行政の動き動き
13:45記者会見
(テレビ放送)
テレビを見ていた利用者や家族が事業所やケアマネに連絡。
15:00

通所介護へ通知
(TEL&FAX)

通所介護は送迎の準備に追われていてすぐには確認できず。
ケアマネには通知が来ておらず情報を確認できず。

16:00

居宅介護支援事業所へ通知
(FAXのみ)

市のホームページに情報掲載

休止要請の経緯などは不明。

3月6日(金)14時頃、「名古屋市南区・緑区の全ての通所介護事業所に2週間事業停止要請を名古屋市が決定」という行政の記者会見がテレビで放送されました。

テレビをみていた利用者や家族から連絡が入りましたが、対象区内の通所介護や居宅介護支援事業所への事前通達がなく、事業所側はすぐに調整に入れませんでした

この時点で市のホームページを見ても、確定情報が掲示されたのは16時過ぎだったそうです。

金曜日の夕方だったこともあり、相談や調整、話し合いの時間がなく、混乱しました。

2.介護サービス事業所に休業を要請する際の留意点について

名古屋市の件を受けて、介護サービス事業所に休業を要請する際の留意点について (令和2年3月6日厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)が発表されました。

ケアマネを中心に代替サービスの確保について丁寧に説明とか、適切なサービス提供を確保とか時間的な状況をみても相当難しい。

そんな状況になってから代替サービスをお願いするのは相当無理があります。

3.突然の休業要請に備えておきたいこと

又、事務連絡にあるような、通所介護を一時的に訪問型に切り替えることは、自宅内の様子に日頃からあまり関わることがない通所介護事業所には難しいと言わざるを得ません。

それ以外に突然の休業に備えておくこととしては以下のものがあげられます。

食事

・自宅で食事の準備ができるか
・配食サービスは利用できるか
・通所介護から食事の配達は可能か(要保健所確認)

入浴・自宅浴槽での入浴が可能か
・通所介護での入浴支援が継続できるか
・清拭での対応でいいか
排泄・通所での排泄回数等に応じた訪問回数の検討
機能訓練・外出機会減少によるリハビリの必要性
単位数・通所介護を一時的に訪問型に切り替えた際の単位
・訪問サービスを追加した場合の限度額管理
介護力・家族や近隣の介護力

4.濃厚接触者にならない為の方法

【第1報】 新型コロナウイルス感染症に関する訪問看護従事者の対応例によると、新型コロナウイルス感染症に罹患した人にケアをした場合でも、感染防護具を着用し、スタンダードプリコーション(感染予防策)を徹底していれば濃厚接触者の扱いにはなりません

スタンダードプリコーションの徹底
  • 手洗い・手指消毒の方法の確認と徹底
  • 手袋の活用と活用方法の確認
  • マスク・ゴーグル・フェイスマスクの着用方法の確認
  • ガウンの着用方法と破棄の方法を確認
  • 器具の取り扱いの確認
  • リネンの取り扱いと交換方法、手順の確認

5.介護サービス事業所での感染防止対策と感染者が発生した場合の取組

介護サービス事業所に休業を要請する際の留意点について(その2)(令和2年4月7日厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)

4月7日現在、事務連絡にて、感染防止対策感染者が発生した場合の取り組みについて記載があり、今後は、これに沿った対応が必須です。

1.感染防止に向けた対応

① 入所施設・居住系サービス

  • 感染者が発生した際等に調査協力が円滑になるよう、利用者リスト、ケア記録、職員勤務表等を整備
  • 面会は緊急やむを得ない場合を除き制限
  • 施設内に出入りした者の氏名、日時、連絡先の記録
  • 同一時間、同一場所での実施人数を減らす
  • 利用者同士の距離をお互いに手が届かない距離を保つ
  • 声を出す機会を減らすかマスク着用

② 通所・短期入所等のサービス

  • 基本は入所系サービスと同様
  • 送迎車に乗る前に検温
  • 送迎車の換気手すり等の消毒
  • 代替サービスの確保に務める

③ 居宅を訪問して行うサービス

  • サービス前に本人の検温

発熱が認められる場合の留意点

  • 基礎疾患を有する職員は、勤務上の配慮を行う
  • サービス前後の手洗い、マスク、エプロン、必要じの手袋、事業所内でもマスク
  • 可能な限り職員を分けての対応

2.新型コロナウイルス感染症に感染した者等が発生した場合の取組

① 入所施設等

  • 新型コロナウイルス感染が疑われる = 風邪の症状や 37.5 度以上の発熱が2日程度続いている者又は強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある者
  • 保健所、施設長、指定権者等に報告
  • 施設等の消毒
  • 濃厚接触者を特定
  • 濃厚接触者は個室へ移動。できない場合はマスク着用してベッドは2m以上あける
  • 職員は、マスク、手袋、ゴーグル等を着用

・濃厚接触者に対する個別のケア等の実施に当たっての留意点

  • 食事介助 個室、利用者の手洗い、食器は使い捨て
  • 排泄介助 トイレを分ける手袋マスクエプロン着用
  • 入浴介助 清拭対応
  • 衣類洗濯 他の利用者と分ける必要はないが、熱水処理か消毒

② 通所系等

③ 訪問系

濃厚接触者にサービス提供する場合の留意点

  • 基礎疾患を有する職員は勤務上配慮
  • 訪問時間を限りなく短くする
  • サービス前後の手洗い、マスク、エプロン、必要じの手袋、事業所内でもマスク

・濃厚接触者へのサービス提供時及び個別ケア等実施時の留意点

サービス提供にあたっての留意点

  • 濃厚接触者の介護等は可能な限り担当職員を分ける
  • 訪問時間を可能な限り短くする
  • 利用者との距離を保つ
  • 手袋、マスク、ゴーグル、エプロン

個別ケアの実施に当たっての留意点

  • 食事介助 利用者の手洗い、食事の準備は短時間
  • 排泄介助 手袋、マスク、エプロン着用
  • 入浴介助 清拭対応

6.ケアマネジメント業務の弾力対応(図解)

感染拡大防止を踏まえて、厚生労働省からは事務連絡が次々と発出されています。ケアマネから問合せが多い内容について整理したわかりやすい図が、日本介護支援専門員協会のページにありましたのでリンクを貼っておきます。

https://www.jcma.or.jp/wp-content/uploads/200414shingatakorona.pdf